イブの夜、リンちゃんは
「絶対、夜中まで起きていてサンタさんを見る」
と張り切っていました。
でも、お父さんと蒲団に入って10時を過ぎるとすぐに寝てしまいました。
今年もサンタさんには会えなかったようです。
『サンタさん、かわいい茶色の豆柴を下さい。だめならちっちゃい生き物を下さい』
リンちゃんの手紙にはこう書いてありました。
お父さんは、「サンタさんにお願いして、約束してくるからね」と、
リンちゃんと約束していました。そして、クリスマスの朝。
リンちゃんの枕元にあったものは……。
籠の中に入ったかわいい「ハムスター」でした。一緒に手紙が添えてあります。
『リンちゃん、メリークリスマス。来年はねずみ年だから、ハムちゃんを大切に育ててね』……。
目を覚ましたリンちゃんは、手紙を読んだ後、
ふわふわした灰色のハムスターを両手で包み込むように手のひらの上に乗せました。
ハムちゃんは気持ちよさそうにリンちゃんの手の中で丸まっていました。
リンちゃんは、ハムちゃんをいとおしそうに見つめながら
「やっぱり、サンタさん、おるね」と
にっこりほほえんだのでした。そしてハムスターを1,000円で買ったお父さんは、
リンちゃんを見つめながら
「よかったね」
とにんまりほくそ笑んだのでした。
いろんな所から情報を得て、サンタさんの正体を疑い始めているリンちゃん。
「サンタさんにお願いして、約束ができるのはお父さんだけだよ」と
いつまで言い続けられるのでしょうか。でも、約束を果たしてくれたサンタさんに
お礼の手紙を書いているリンちゃんを、今年も無事見ることができ、
お父さんは、ほっと胸をなで下ろしたのでした。
( 2008.1.6 GAN
)