去る3月11日、カラスも認めた水の都西条で、クラブ駅伝が行われた。

 

 

若者は若者らしく、おいさんはおいさんらしく、たすきを受け取ってから

たすきを渡すまで、決して「目力」を失わず、それぞれが走りきった。

 

そのレースに松山盲学校の先生で、全盲のランナーが二人走っておられた。

 

 

「伴走者」というゼッケンをつけたランナーが、

一本の紐で全盲のランナーとつながり、一緒に走っていた。

 

 

僕は、昔ある研修会で、目をつぶったまま相手の肩に手を置き、

階段を上り下りして校内を回るという体験学習を経験したことがある。

 

 

その時、初めはものすごく怖かったけど、

しだいに怖くなくなっていった。

 

それは、慣れてきたからではない。

相手の肩に捕まっていれば安心だという他人への信頼感が生まれてきたからだ。

 

 

 全盲のランナーはどのような気持ちで走っているのだろうか。

 

ものすごいスピードで走っている。そんな彼らに、僕は「目力」を感じた。

 

 

 

彼らの「目力」はいわゆる目で見る力ではない。

伴走者を信じ切る心の力なのだ。

 

 

自分の全身を伴走者にゆだね、自分の心の目で「信頼」を見続けている。

信頼された方はどうか。もちろん信頼にこたえなければならない。

 

 

そのために、安全に走りきれるように、すべての道に心を配る「目力」を

発揮する必要がある。信頼する力は、信頼にこたえる力を生む。

 

 

まるで、友を信じ切ったセリヌンティウスと友の信頼にこたえたメロスとの

愛と誠の力そのものだ。やっぱり人間は、目でものを見ているのではない……。

 

 

 

心で見ているのだ、ということを二人のランナーに教えられた。  

 

 

 

( 2007.4.9 GAN )

 

 

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