Nihon Bunka Kenkyukai

 

 「カラスの行水」を見た。

 

 

そのカラスは、とても気持ちよさそうに足から人工の小川の中に入り、バチャバチャと

羽を動かしていた。

 

上手に羽を動かして、気持ちよさそうに全身に水をかけている。

 

 

水は頭の上から背中の方までまんべんなくカラスをぬらした。

 

 

そして、体全体が濡れきったら、カラスは軽々と岸辺に飛び上がり、そこでもまた

気持ちよさそうに、体を震わせて水を飛ばしたり、くちばしで毛繕いをしたりしていた。

いや、鳥だから羽繕いいというべきか……。

 

 

そういう行動を二度、三度繰り返しながら、カラスは満足した顔つきで大空に飛んでいった。

いや、顔つきは見えなかったが、全身で「気っ持ちい〜い〜」と言っていたのだ。

 

 

さすが西条。

 

 

ここの水は、人間どころか、カラスだって大満足だ。

 

 

 僕はいいものを見た。

 

いつも何かいいことないかな、と考えながら歩いている僕の目が、

カラスに会わせてくれたのかもしれない。

 

果たして今の世の中で「カラスの行水」を

自分の目でじっくりと見たことのある人は、どれほどいるのだろうか。

 

 

多くの人が見たことがないくせに、

 

「入浴時間がきわめて短いこと」を「カラスの行水」と呼んでいる。

 

 

 

そして、カラスの行水を見たことがなくても、

「カラスの行水」という言葉を使っている。

あなたに伝えたいこと 10

 

 目 力 (めぢから) 

 

 

 

しかし、本当のカラスの行水は、そんないい加減なものではなかった。

 

 

丹念に洗っている。足から入ってお腹全体が水に浸るようにした状態で、

水を楽しんでいる。

 

 

僕の目が釘付けになっていたからかもしれないが、結構な時間を行水に使っていた。

 

 

カラスの目は、しっかりと水の冷たさと、ありがたさ、そして自分の体の黒光りする

美しさをとらえていた。

 

 

 

 

 

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目力(めぢから) その壱
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